ドリーム小説

















そう、それはたまたま僕の可愛い可愛い弟の有利が悩んでいたから手を差し伸べようとしたのがきっかけだった。

まさかこの歳で弟と同じように子持ちになるとは思いもしなかったのだけれど、























「う〜ん、この子達どうしたらいいのかな?元の国に返すべき??」


「どうしたんだ?ゆーちゃん」







頭を抱えうんうん悩んでいる弟に声をかける。こういう時こそ兄として役に立つべきだろ。そう、俺はお兄ちゃんなんだから!





「ゆーちゃん呼ぶな、兄。れっきとした高校男子にちゃん付けとかキモいから」


「そう?俺は可愛いと思うけど」





ゆーちゃんに冷たくいわれても気にしなーい。
だって小さい頃から呼んでるし、昔のゆーちゃんは弟というよりも妹だった。もう、それはそれは可愛くて誘拐されるのではと皆でよく心配したものだ。勝兄なんかもう、溺愛溺愛。危ないくらいの愛情を注いで、花よ蝶よと育てた。そんな、最早高校男子と思われて無い彼にどうして男の子らしい呼び方が出来よう?俺達の中ではゆーちゃんはまだ幼くて可愛いゆーちゃんのままなのだ。・・・・・それが、自分達のエゴだと解ってはいるけれど。それでも幼い頃からの刷り込みをそうそう帰ることもできないのが現状だ。なので、そのままゆーちゃんと呼ぶことにしているのだが、この頃父親としての自覚も持ち、めっきり男らしくなった弟はそれが大いに不満らしい。





「・・・・・・・・・ごめん、俺が悪かった。兄に常識言っても通用しないって忘れてた」


「聞きようによっては凄く失礼だけどね、まあ良いや。それで何をお悩みですか?愛しの弟君よ」





ゆーちゃんの失礼極まりない発言を聞き流しながら先を促す。
まったく、俺のどこに常識が無いだって!?少なくとも男の婚約者がいて魔王でその歳で子持ちのゆーちゃんには絶対言われたくない。
自分は少なくとも女の人が好きだし・・・いや弟もそうか・・・今だって必死にアプローチしているのは魔族というだけでどこも問題ないれっきとした女の人だ。少々、変わった人ではあるけれど(いま、このの心の声を聞いた人物がいたら即座に否、も十分非常識だ!と答えることだろう。だって彼の想い人はあの毒女と恐れられ、日夜実験や研究に勤しむマッドマジカリスト、通称赤い悪魔と呼ばれるフォンカーベルニコフ卿アニシナ嬢であるのだから)





「(そういうのが非常識なんだって)・・・・・あー、実はこの子達どうしようかなーと思って・・・」





そう言って見やる視線の先には先程の神族の子供達。中には双子の少女、フレディとジェイソン(まったく、なんて素晴らしいネーミングセンスだ!)もいる。
頼りなさげに、不安に揺れる瞳を見て・・・何だろう?こう、衝動的に思わず口走ってしまった。









「・・・・・・・・・俺が引き取る」


「そっかー兄が引き取るかー、それは名案・・・って!
マジで!?


「え?ぉ、おう」







何で自分でも言ったのか解らないがとにかく手放したくないと思ってしまったのだ。こんな衝動に駆られるなんて・・・・まだまだ青いな、俺も。

そんな風に物思いに耽っていると有利が、父親の顔で俺にどんなに父親っていいか、娘の素晴らしさを語りだした。あぁ、この話になると長いんだよな。お前はどこぞの親ばかか?なんて、前言ったら誇らしそうに「親ばかだ!兄も娘をもったら解るさ!!」なんて一丁前に男の顔して言いやがって。ちくしょう、大人になるのが早いんだよ!







「はー、これで兄も子持ちだなー、パパはいいぞ〜!お父様とか呼ばれるとさー、なんかこう温かい気持ちになるんだよな〜。娘っていいぞ、娘って!」


「・・・・・・・はいはい、」


「にしても、一気に子沢山になったなー!1、2、3、・・・・・10、20、37・・・・ワォ、一クラス位ある人数じゃありません?野球できるよ、野球!夢なんだよなー自分の子供で野球チーム作るの!俺も負けてられないな〜」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゆーちゃん?一クラス分って、あの何が・・・」


「もう、やだな〜。兄のお子さんの数じゃありませんか。ほら、こっちおいでー!この人が今日から君達のパパだよー!!」







有利がそう言うと、ぞくぞくと真っ白い子供達が現れた。一体今までどこに隠れていたのか?って位大勢の。
それがまた愛らしく「パパ?」なんて首傾げて聞いてくるもんだから思わず「俺がパパだよ!」とかいって抱きしめてしまったじゃあないか。あぁ、こんちくしょう!子供って良いなぁ、娘も息子も可愛いなぁ。有利の親ばかが理解できちゃう自分が怖い。ただ、目下の悩み事は、







「ママ、」


「パパじゃないの?」


「でも、ママみたい」


「ママ?」


「ママ」


「ママ、おなかすいた」






「・・・・・・・・・とりあえず兄、子供達にパパって呼ばせるとこから始めないとな」









子供達の会話を聞いて同情の眼差しとともに有利がポツリ、と呟いた。









あぁ、アニシナさん・・・・いきなり40人近くの子持ちになって、その子達からママと呼ばれる俺でも、好いてくれますか?


















い、だかマとは









パパと呼ばれるならいつだって大歓迎さ!