神の凍てつく吐息でさえも、致命傷には程遠い
「さんは何故、エクソシストに?」 「・・・・・普通、聞かねぇけどな。そういたことは」 「あぁ、すいません。気になったものですから」 煙草を吹かしながら夜空を見つめる俺。 隣には笑顔の最近入ったばかりの新入り(アレンというのだそうだ。アレン、呟いて出るその響きはとても綺麗なものだった。あぁ、素敵な名前だな) 見た目はモヤシのように細い(神田談)がどうも中身は一筋縄ではいかない。一癖も二癖もありやがる。流石は、あのクロス・マリアンの唯一の弟子・・・といったところか。 逃げるのは無理だと悟り、横にいるアレンの方を向く。彼の横顔はそれはそれは美しかった。神田も美しいが、今隣に座る少年はどこか危うさが引き立つ。善と悪、天と地、神と悪魔がコーヒーにミルクを入れたときのように混ざり合い、黒と白のどちらでもないものに、彼をしている。 そんな彼に感じるのは、そう壊れたブリキの玩具が再び動き出したような、そんな感覚。動き出して嬉しいのと、いつかまた壊れるのではないかという不安に苛まれる、あの独特の感情。 「僕は、父をAKUMAにしてしまった。それを今も悔やんでる。だからエクソシストになった。もうそんなこと嫌だから。そう懺悔だったんです、初まりは」 「じゃー、今は?」 「・・・・なんでしょうかね?ただ、何かを救える破壊者になりたいです」 「ふーん」 「さんは、どうなんですか?」 その時、丁度リーバがやってきてこれから任務だから早く集まれ、と腕をとられ引きずられる。俺は、リーバに急かされながらアレンの方を向いてさっきの質問に答えてやった。 「さーね、でもまぁ・・・とりあえず、」 「とりあえず?」 「とりあえず、早くゆっくり煙草を吹かしながら寝られる生活に戻りたいね」 俺がそう言うと、彼は呆気にとられた後盛大に笑う。 「そうですね、」 と。 俺達の会話を聞いてリーバが言った、 「・・・俺は早く規則的な生活が出来るようになりたい・・・・」 その台詞で俺達はこれから任務で死ぬかもしれないのに盛大に笑いあったのだった。 |
神よ、あなたよりもぼくらを苛むものが存在するのです